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Red Warrior Phase10 [Red Warrior]

Red Warrior in the Seed World  (目次に戻る。

PHASE10 消えるガンダム

「こりゃあ、ひでえなあ……」

アークエンジェルのハンガーでは、他の整備兵と共にコジロー・マードック軍曹が途方に暮れていた。

キラの105ダガーは、両腕を吹き飛ばされていた。
シンジのデュエルダガーは、片腕と両足を無くしていた。
レイのバスターダガーは、袈裟懸けに斬られていた。

地球軍の誇る新型機動兵器であるダガー部隊が、無残な姿を晒している。一機として、無傷の機体は無い。一体、どこから手をつければいいものか……。コジローでなくとも、頭を抱えたくなるだろう。

オーブのアストレイのパーツを使いたくても、材料からして違うのだから流用はできない。アストレイは、軽量化のために発泡金属装甲を採用しているのだが、アークエンジェルのダガー部隊は、攻撃エネルギーを装甲全体に拡散させることで損傷を軽減するラミネート装甲を採用しており、全く互換性が無いのだ。

それでも、整備班の責任者であるマードックは、ため息をつきながら修理に取り掛かるしかなかった。マードックが最初に修理に取り掛かることにしたのは、キラの105ダガーだ。腕を付け、配線など修理すれば、なんとか戦闘に耐えられると見込んだからだ。

「今日は徹夜だろうな……」

マードックの呟きに、誰も反応する者はいなかった。

そしてアークエンジェルのブリッジでも、マリュー達が頭を抱えていた。一挙に戦力の大半を無力化されたため、時間をおかずに次の襲撃を受けたら、とてもじゃないが耐えられそうにないからだ。

「無事なのは、フラガ大尉のメビウスゼロだけなのね」

艦長席で深いため息をつくマリューに、普段はトールがいる席に座っているムウが軽口を叩く。

「なあに、オーブの方はパイロットが全員無事だって話だ。アストレイは予備機が多いようだし、何とかなるんじゃないの?」

沈んだ空気を何とかしようと陽気に振舞うムウであったが、いかんせん、この場にいるメンバーの顔は暗い。キラは、一方的に紅いジンを攻撃・破壊したレイに不満を持っており、むっつりとした顔をして壁に寄りかかっている。シンジはキラの隣にいるが、キラに何を言ったらいいのかわからないため、言葉も出ない。他のオーブ組も、なんだか嫌な雰囲気を感じ取ってか、言葉少なだ。だがそこに、暗い雰囲気を吹き飛ばす元気一杯な女の子が現れた。

「やっほー!マナちゃん参上!」

マナは、ブリッジに入ってくるなり、『暗いよ~』と言ってキラの背中を叩く。急なことに、キラは息がむせてしまうが、マナはキラに『暗いと女の子にもてなくなるよ~』とからかう。一方、シンジに対しては元気を出しなよと励ます。キラは、なんだか扱いに差があるなあとちょっぴり不満だったが、マリューがマナに話しかけたため、とりあえず黙っていた。

「マナさん、来てくださってありがとう。実はね、今後のことを相談したいのよ」

マリューは、次にザフトに襲われた場合どう対応すべきか、マナに意見を求めた。ザフトの戦力は、ジンが1機中破しただけ。それに対し、こちらはダガー部隊が3機とも中破又は大破で、戦力は半減以下だ。どう考えても不利である。だがマナは、なんとかなるかもと言う。これには、レイが黙っていなかった。

「アストレイでは、クルーゼ隊に勝てないわ。それは、既に証明されているわ」

レイの指摘は的を得ている。アストレイは、確かに量産機としてはいい機体であり、機動性を重視したコンセプトも素晴らしい。だが、コーディネイターが乗ったG兵器相手では、あまりにも分が悪いのだ。軍人であるムウやナタルはもとより、軍事には素人のキラやシンジでさえもそう思うほどだ。しかし、マナは笑顔を崩さない。

「へへーん、レイ。マナちゃんズにはね、まだ奥の手があるのよ」

マナは、にっと笑った。




マリューたちの心配を知ってか知らずか、ミゲル達はアークエンジェルを追撃せずに、ラクスが乗っているはずの民間船シルバーウインドを引き続き探し求めた。だが、ミゲル達が探し当てたのは、砲撃の痕があり、ごく最近破壊されたであろうシルバーウインドだった。

「ちくしょう!これって、民間船だろ?なんで砲撃されなくちゃならないんだよ!」

シルバーウインドを目の前にして、ミゲルは行き場の無い怒りに身体を震わせる。この船には、ユニウス・セブンの慰霊団が乗っていた。家族を、親戚を、友人を、核の炎で焼かれた人達が、死者の霊を慰めるために乗っていたのだ。決して戦いに来たわけではない、非武装の船だったのだ。それを、何者かが無慈悲にも攻撃し、船に乗っていた数百人もの非戦闘員を殺したのだ。これはまさに、一方的な殺戮と言えよう。

「地球軍の奴らめっ!許さんっ!」

イザークは、目を血走らせて無残に破壊された船を見つめる。ディアッカは傍にいたが、とてもじゃないが話しかけられる雰囲気ではないと思ったのか、腕組みをして黙っている。普段はよく冗談を言うラスティでさえも、鋭い目つきで船を見ている。ニコルはというと、アスカになんて言えばいいのかと、頭を抱えている。だが、ニコルのその悩みは、直ぐに解消された。本来ならばまだ安静が必要なはずのアスカが、無理を押してブリッジに出てきたのだ。

「あ、あの、姉さん……」

ニコルは、それ以上言葉を続けられなかった。アスカの目を見てしまったからだ。アスカの目は、イザークと違って怒りに燃えてはいなかった。ただ、深い哀しみを感じさせるような、憂いを浮かべた目だった。

「アタシは、また守れなかったのね……」

アスカは、綺麗な蒼い瞳に涙を浮かべ、しばらくの間じっと動かなかった。

既にラクスは亡き者と思って、アスカ達が怒り、哀しみ、涙していた頃、当のラクスはトランプに明け暮れていた。

「あっ、わたくし、あがりですわ」

ラクスが2枚のエースを場に捨て、手札が無くなる。

「えええーーーーっ!また僕の負けなのーっ?」

これで、キラのババ抜き5連敗が決定した。

「キラ、弱過ぎ」

ミリアリアが無情にコメントして、とどめを刺す。おかげでキラは、しばらくは立ち直れないほどの精神的打撃を受けた…………わけではないが、結構ショックだったりする。

「あのー、ラクスさんを助けたのは、誰でしたっけ?もう少し手加減してくれてもいいんじゃ……」

キラは涙目になって聞くが、聞いた相手が悪かった。

「あら、どなたでしたっけ?ああ、思い出しましたわ。とっても大きくて、二本の角がある方ですわ」

ラクスのボケに、『それはモビルスーツでしょ!』などと突っ込む気力はキラにはない。トホホと言ってうな垂れるだけだ。その様子を見て、周りのみんなは大笑い。余計にキラは落ち込んでしまう。

「キラ君、元気出してよ」

見かねてシンジが励ますと、キラはシンジの手を握って、シンジ君は優しいねと喜んだ。

さて、なんでこんなところにラクスがいるのかというと、話は少し長くなる。

シルバーウインドが攻撃される前に、周りの者がラクスを救命ポッドに押し込んだ。その後間もなくシルバーウインドは、ブルーコスモスと呼ばれる反コーディネイター主義者の地球連合軍将校が指揮する戦艦に攻撃され、あえない最期を遂げた。

そのラクスの乗る救命ポッドが、運よく地球軍の攻撃を免れて宇宙を漂っているところを、キラが発見してアークエンジェルに連れて来たのだ。

ラクスが、プラント議長であるシーゲル・クラインの娘であることを知ったマリュー達は、その扱いに困ったが、キラとシンジがラクスの見張りを志願したため、渡りに船とばかりに認められた。しかるべき所に着くまでの、暫定的な措置としてという条件付きではあるのだが。

というような出来事があって、キラ、ラクス、シンジ、マナ、トール、ミリアリアの6人で、今は楽しくトランプをしているというわけである。

ちなみに、レイは整備兵に交じって修理を手伝い、サイ・カズイ・フレイの3人は、人手不足のブリッジで勤務している。サイとカズイはCICで索敵と情報解析を、フレイはオペレータ席で通信の傍受をしているのだ。だが、カズイとフレイの本音は、見知らぬコーディネイターであるラクスとあまり仲良くしたくない。だからこそ、ブリッジ勤務を選んだのだが、それに気付く者はいなかった。

アスカ達は、シルバーウインドの周りをくまなく捜索したが、ラクスの生存を示すものは何も無かった。アスカの勘も、少なくともラクスが周辺の宙域にいないといっていた。となれば、一番可能性が高いのが、シルバーウインドを攻撃した地球軍がラクスを連れ去ったというもの。その次に可能性が高いのが、近くを通りがかった船がラクスを救助したというものだ。

もしかしたら、ラクスは足付きに拾われているかもしれない、そう考えたアスカ達は、万一の可能性を信じて足つきの追撃を上申した。その結果、条件付きであったが認められた。あと半日待ってヴェサリウスと合流して補給を受け、それから追撃せよというものだった。そして現在、ヴェサリウスと合流し、補給を受けている。

アスカ達は、通常の補給のほかにも様々な補給を受けた。そのひとつがデュエル用の強化パーツのアサルトシュラウド(AS)だ。これは、バックパック及び脚部に追加された高出力スラスターによって機動力を強化する。また、右肩部装甲に115mmレールガン「シヴァ」と 左肩部装甲内に220mm径5連装ミサイルポッドが追加され、武装も強化された。イザークは意気揚々で、『今度こそ、デュエルASで足つきを沈めてやるんだ』と息巻いている。

ストライク用には、ランチャーストライカーを補給を受けた。アスカ達の後続部隊がヘリオポリスから発見した部品を元に、急遽組み立てられたものだ。遠距離砲撃戦および対艦・対要塞戦に特化した装備で、主力武器「アグニ」により、極めて強力な火力を誇るストライカーパックだ。右肩に装着するバルカン砲も中距離火器として十分な威力を持つ。ただ、残念ながら他のストライカーパックの部品が見つかっていないため、今回補給を受けたものが壊れたら、当分補給を受けられない。だが、ラスティは『壊さなければ問題ないっしょ』と言って、特に気にしている様子は無い。

ミゲルには、ようやく修理の終わった愛用機、オレンジ色のジンが届けられた。普通のジンとの外見上の違いはカラーリング程度だが、精度の高いパーツを選出して製造されており、一般機と比較して約20%のスペック向上を達成している。但し、その分パーツの消耗率も高く、信頼性の低下や整備性の悪化等の弊害もある、扱いが難しい機体である。だが、ミゲルは『愛機が帰って来た』と言って大喜びである。

アスカには、新しい機体が与えられた。ヘリオポリスから発見された機体にアサルトシュラウドを追加装備した、ガンダムアストレイ ブルーフレームASである。これも、右肩部装甲に115mmレールガン「シヴァ」と 左肩部装甲内に220mm径5連装ミサイルポッドが追加され、バックパック及び脚部に追加された高出力スラスターによって機動力を強化されていた。アストレイには、PS装甲が無く装甲が弱いという欠点はあったが、それを追加装甲によって解決したのだ。それに、機体が軽いため機動性に優れているという長所は、重量は増加したものの機動力も強化されたので、失われてはいない。攻守共に強化された、非常にいい機体だと言える。

だが、その機体を見た瞬間、アスカは難色を示した。

「ニコル、青い奴はアンタが使いなさいよ。アタシは、ブリッツを使うから」

そう言って、強引にブリッツを自分のものにしてしまったのだ。

「ね、姉さん……。そ、そんなあ……。やっと、あの機体に慣れてきたのに……」

唖然とするニコルだが、アスカに逆らえるはずもなく、渋々ブルーフレームASを使うことになった。だが、ニコルがブリッツを簡単に諦めたのには、他にも理由がある。強行偵察任務が多いアスカにとって、85分という限界時間があるにせよ、新機軸のステルスシステム「ミラージュコロイド」を搭載するブリッツという機体はうってつけだからだ。

それに、ニコルが敵のダガー部隊と戦って気付いたのだが、ブリッツは他の機体と比べて、武装に難がある。右腕に武装が集中しているため、右腕を破壊されると武装は左腕に装備されたワイヤー付きのクロー、グレイプニールしかなくなり、戦闘力は事実上ゼロに等しくなるのだ。勢い、戦闘中は常に右腕に被弾しないように気遣う必要があり、戦いにくいことこのうえない。そのうえ武装が大き過ぎて、使い回しが悪いという欠点もある。

このように、機体のチェンジはお互いにメリットがあったのだ。決して、アスカのわがままだとか、色が気に食わなかったなどいう理由ではない……と思われるのだが……。

ともあれ、補給を受けたアスカ達は、足付きを目指して出発した。

数日後、アークエンジェルのブリッジで、計器が特異な反応を示した。オペレータ席に座っていたフレイは、飲みかけのドリンクを放り出して計器をいじる。

「―――艦長っ!」

フレイの震える声に、マリューとナタルが何事かと振り返る。敵襲か?と身構える彼女達に、フレイは叫ぶように言った。

「つ、通信です!地球軍第八艦隊の暗号パルスのようですっ!」

「なんですって!?」
「追えるのか?」

マリューとナタルが、フレイの横まで寄ってきて、フレイの前のモニタを覗き込む。やがて、独特の波形が計器に現れる。

「―――解析します!」

フレイは、恐る恐るキーボードに指を走らせて、解析プログラムを作動させる。殆どオートに近いので、新米のフレイでさえも扱えるという優れものだ。ほどなく、スピーカーから途切れ途切れの音声が飛び出してきた。内容を聞くと、どうやら第八艦隊の先遣隊からの呼びかけであるらしい。マリューの顔が、ぱあっと明るくなる。

「ハルバートン提督が、迎えの部隊を送ってくれたんだわ!」

喜ぶマリューを横目に、ナタルは冷静に事態を把握しようとする。

「位置は?」

「待ってください。まだ、かなりの距離があるようです」

フレイは、まだ正確な距離はわからないと報告する。とはいえ、他のクルーには大きな希望を与えたようだ。アーノルド・ノイマン曹長とジャッキー・トノムラ伍長が、ハイタッチをして喜びをあらわにしていた。

その後、先遣隊との通信に成功し、艦長日誌の提出や乗員名簿その他のデータのやり取りも行われた。そして、フレイには更なる吉報があった。フレイの父、ジョージ・アルスターが先遣隊にいることがわかったのだ。

「……パパに会える」

フレイは、久しぶりに笑顔を浮かべた。

一方、アークエンジェルだけでなく、強行偵察任務中のアスカも先遣隊を捉えていた。アスカはバッテリーの残量を確認し、十分戦闘に耐えうると判断すると、直ちに地球軍へと向かった。そして、先遣隊の索敵範囲ぎりぎりのところで、ミラージュコロイドを展開する。

「さあて、子羊ちゃん達。覚悟はいいわね?」

アスカは、舌なめずりをして呟く。先遣隊は、ブリッツの存在に気付かず、易々と接近を許してしまう。アスカは、先遣隊に十分近づいたところでモビルアーマー発進口を狙ってライフルを連射し、最初に敵の機動兵器を封じてしまう。それから方向転換して、一番大きな艦に取り付き、ミラージュコロイドの展開をやめ、フェイズシフト装甲へと切り替える。

戦艦にいったん取り付いてしまえば、他の艦からの攻撃はなく、戦艦からの攻撃手段も限られているため、既に勝敗は決していた。ブリッツは、リツコ謹製のスマッシュホーク――巨大な片刃の戦闘用斧――で戦艦の兵装を次々と破壊していく。戦艦の2連装大型ビーム砲、2連装対空砲、多目的VLS、3連装対宙魚雷発射管、回転式ミサイル発射管、75mmガトリング機関砲、それらの武装が次々と破壊され、沈黙していく。さきほどまで威容を誇っていた戦艦が、今ではまるで達磨のようになり、アスカのブリッツに手も足も出ない。

「ようし、次!」

アスカは、他の全長130メートル級の護衛艦にも襲い掛かかり、わずかな反撃をかわしつつ敵を無力化する。短時間で作業を終えたアスカは、敵に通信を送り、機密データを寄越せと迫った。だがこれは、単なる時間稼ぎだった。通信に紛れて送り込んだウイルスソフトによって、ラクスやシルバーウインドに関するデータを検索し、ブリッツに送信させるのが真の目的だったのだ。だが、あと少しでデータを受信できるというところで、何者かの接近を察知した。

「なっ……。あのモビルスーツは、一体?」

アスカは、白地に赤い塗装を施した謎のモビルスーツを目撃する。果たして、そのモビルスーツの正体は?



あとがき

さんざん迷ったのですが、結局「弐号機もどきのMS」(ジン・ウォーリア)を出すのは(今のうちは)やめて、アスカはブリッツに乗せることにしました。その代わりに、エヴァらしい武器のスマッシュホークを重斬刀に代えて出すことにしました。


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