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Red Warrior Phase3 [Red Warrior]

Red Warrior in the Seed World

PHASE3 ガンダム奪取作戦

クルーゼ隊に入ったアスカだったが、他の赤服メンバーが次々と実戦で成果をあげていくのに対して、目立った活躍の場は与えられなかった。アスカに与えられるのは、比較的安全で地道な偵察任務だけだったのだ。アスカは何度もクルーゼに直訴して実戦に出してもらおうかと思い詰めたが、結局断念することにした。地道に任務をこなすことが、結局は近道だと判断したためである。このため、クルーゼはアスカのことを簡単な任務を文句も言わずに黙々とこなす便利なパイロットと判断し、アスカの本心に気付くことはなかった。

戦局はというと、膠着状態が続いていたが、数で勝る地球連合軍が短期間で勝利するだろうという大方の見通しを覆し、あろうことか徐々にザフトの勢力圏が広がっていった。そして、ザフトは東アジア共和国のカオシュン(華南)宇宙港を攻撃し、1週間ほどでこれを陥落せしめたのである。

そして……。





C.E.(コズミック・イラ)71年1月25日




ニコルとアスランは、長椅子に並んで腰掛けていた。

「アスラン、もうすぐ出撃だね。」

「ああ、そうだな。今度もきっと、うまくいくさ。」

もうすぐ中立国の資源衛星ヘリオポリスに忍び込んで、地球連合軍の新型機動兵器を奪おうという作戦が始まるためにやや不安げな顔のニコルを、アスランは少しでも励まそうとしていたのだ。そこに、シリアスな雰囲気をぶち壊す者がやって来た。

「あ~ら、ニコル。元気無いわねえ。」

「ね、ね、姉さんっ!やっ、止めて下さいよっ!」

ニコルは、真っ赤になって大声をあげた。だが、それも仕方ないだろう。アスカの手は、ニコルの太股の付け根にある大事なモノをしっかりと掴んでニギニギしていたのだから。ちょっとニギニギしてから、アスカは明るく言った。

「まあ、そう言わずにさ。もうちょっと、元気出してよね。」

アスカは、ニコルの後ろからしがみついて、胸をぐりぐりと押しつけた。

「ちょ、ちょっと、姉さん。何をするんですかっ!本当にもうっ!やっ、止めて下さいよっ!」

ニコルの抗議の声は、裏返っていたために迫力が全然無かった。

「ありゃ、ニコル。何だか元気になったわよ。うん、よしよし。いいから無事に帰って来なさいよ。」

アスカは、ニコルの身体の一部が元気になったことを確認すると、嬉しそうにウンウンと頷いた。だが、ニコルはもう、泣きそうだった。

「姉さん、そりゃあないですようっ……。」

そうして、今にも涙を流さんばかりだった。だが横で、アスランが声を殺して笑っている。

「ふうん、アスラン。余裕じゃない。アンタもこうよっ!」

今度は、アスカはアスランの後ろからしがみついて、胸をぐりぐりと押しつけた。

「うわっ、参ったよ。降参するから、許してくれよ。」

などと言いながらも、アスランはあんまり困った様子ではない。むしろ、喜んでいるようだ。

「ちっ。ラクスで慣れてるわね。」

だがアスカが小声で囁くと、今度はアスランの顔が真っ赤になってしまった。

「まあ、いいわ。アンタ達に渡したいものがあってね。はい、どうぞ。」

そう言いながら、アスカは二人に2本ずつ縮れた短い毛を差し出した。

「えっ。これ、一体何ですか。」

首を傾げるニコルに、アスカはお守りだと説明した。だが、アスランがニコルの耳元で何かを囁くと、途端にゆでだこのように真っ赤になった。

「ね、姉さん。これは……。」

「アタシの『髪の毛』よ、『髪の毛』。それ以外の何物でもないわよ。いいから、肌身離さず持っていなさいよ。」

「で、でもっ……。」

嫌がるニコルに、アスカは肩をすくめてロケットペンダントを取り出した。ロケットは、丸いタイプだった。アスカはロケットを開けて、そこに『髪の毛』を入れる。

「はい、これならいいでしょ。」

にっこりと笑うアスカに、ニコルは逆らえなかった。ニコルはため息をつきながら、ペンダントを首にかける。

「はい、アスランもよ。」

これまたアスランも、ペンダントを首にかけた。

「ああ、言っておくけど、ニコルのロケットの中には家族4人で写した写真が入っているからね。」

「は、はい。姉さん、ありがとう。」

ニコルは、アスカの気遣いに嬉しくなり、思わず涙を流しそうになる。

「アスランは、ラクスとアタシの写真よ。いいわよね。」

「ええ、もちろん。アスカ、ありがとう。」

本当は、ラクスだけの写真の方がいいのかもしれないが、アスランの優しい性格ではそんな不満を言うはずがなかった。

「で、『髪の毛』も1本はラクスのだから。」

「えっ……。」

アスランの顔は、さきほどのニコルにも負けない位真っ赤になった。そこに、ミゲル達がやって来た。

「おっ、なんだよっ!いいなあっ、俺も欲しいなあっ!」
「いいなあっ。羨ましいなっと。」

どうやら、隠れて話を聞いていたらしい。ニコル達がもらったものを凄く欲しがった。

「フン!バカ言わないでよね。」

そこでアスカは、頬を膨らませてそそくさと出て行った。

「ちぇっ。残念だな。」
「あ~あ、いいなあっ、いいなあっ。俺もあんな姉さんが欲しいなあっ。」
「美人の婚約者が欲しいなあっ。」

「「「いいなあっ!」」」

ミゲル、ラスティ、ディアッカの3人は、心底羨ましそうな顔をする。だが、イザークは不満そうだった。

「フン、くだらん。迷信など……。」

そう、この時代においても迷信はあった。女性のとある部分の『髪の毛』を持っていると、戦いから必ず生きて戻れるという迷信が。アスカはそれを知っていたからこそ、ニコルに自分の『髪の毛』を、アスランに自分とラクスの『髪の毛』を渡したのだ。もっとも、他にも理由があるのだが。

「でもなあ、羨ましいぜ。ニコル、悪いがちょっとだけ見せてくれよ。アスカのマン……「『髪の毛』よっ!」」

ミゲルの言葉を遮って、アスカが大声をあげた。皆がアスカの方を向くと、アスカは何故か痛そうに股間をさすっていた。

「しょうがないわねえ。アンタ達の分もあげるから、ニコルのお守りを取らないでよね。」

アスカがそう言いながら『髪の毛』を渡すと、ディアッカ、ミゲル、ラスティの3人は飛び上がって喜んだ。

「おおっ!グゥレイトォーーーーーーーーッ!」
「マジかよっ!すっげえええええええええっっっっっっっっっっっ!」
「うおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっっっっっっっっ!」

ところが、なんとイザークは断った。すると、アスカはイザークの耳元で囁いた。

「ふうん、ママの『髪の毛』持ってるのね。」

「ち、違うっ!」

途端にイザークは真っ赤になる。いくらなんでも、それはない。イザークは母親想いというだけで、マザコンではないし、例えマザコンだったとしてもそこまでしたら異常だ。 

「じゃあ、好きな女の子でもいるの?」

「いるわけないだろっ!」

畳みかけるアスカに、イザークはさらに真っ赤になる。実は、好きな女の子は目の前にいるのだが、イザークが言えるわけがないし、アスカもそんなことは気付かない。

「じゃあさ、好きな女の子から貰えるまでの間、アタシのを持ってなさいよ。ねっ、そうしなさいよ。」

小首を傾げてにっこりと笑うアスカに、イザークはぶっきらぼうに『髪の毛』を受け取った。

「そ、そこまで言うなら貰ってやる。」

すると、アスカは再びにっこりと笑い、拳を握って突き上げた。

「いい、野郎ども!アタシのお守りを無駄にするんじゃないわよっ!絶対に生きて帰ってくるのよ!いいわねっ!」

「「「「「「おーっ!」」」」」」

皆が拳を突き上げると、何故かアスラン、ニコルやイザークまでもが同じ動作をしていた。アスカは、既にクルーゼ隊のパイロット連中をほぼ掌握しているようだった。さすがはアスカ、恐るべし。




さて、ヘリオポリスでは、ザフトの襲撃が間近であることなど知るはずもなく、市民は平和な暮らしを満喫していた。その中で、工業カレッジに通う学生、キラ・ヤマトは、パソコンの画面で、ニュースを見ていた。そこにキラの友人であるトール・ケーニヒが声をかけた。

「キラ、こんなところにいたのかよ。カトウ教授がお前のこと探してたぜ。」

「またあ?」

キラは、嫌そうな顔をする。

「見つかったら、直ぐに引っ張って来いって。」

一緒にいた、トールの恋人のミリアリア・ハウも続けて言う。

「しょうがないなあ。」

キラは、嫌々ながらも立ち上がった。そうして3人でカトウ教授のオフィスに向かうことになったが、途中でミリアリアが友人のフレイ・アルスターと出会い、同じく友人のサイ・アーガイルの話が出た。フレイが、友人のサイから手紙をもらったという話だった。密かにフレイのことを気に入っていたキラは、ちょっぴり気になった。

トール達と一緒にゼミのカトウ教授の部屋に行くと、キラと同じ歳の、深く帽子を被った少年らしき先客が待っていた。そして、友人のサイ・アーガイルも。

「おい、キラ。これ、カトウ教授から。追加だって。」

サイがキラにディスクを渡すと、キラは思いっきり嫌な顔をした。そのうえ、先客がキラにいきなり聞いてきた。

「おい、お前。カトウ教授の部屋は、ここでいいんだよな。」

「は、はい。」

「そうか。」

その少年はドアを開けようとしたが、その時急に爆発音がして建物が揺れた。ザフトの攻撃が始まったのだ。




ザフトの攻撃は、アスラン達5人の赤服と5人の一般兵、併せて10人ほどの部隊の潜入から始まった。アスラン達は手分けして各所にタイマー式の爆弾を仕掛けていく。それから2隻の船からザフトの誇る機動兵器-モビルスーツと呼ばれている、高さ18メートルほどの人型ロボット-である「ジン」が出撃した。クルーゼ隊長はその後直ちに電波妨害を行うよう指示した。

電波妨害とモビルスーツの発進に気付いたヘリオポリス側は、迎撃のために戦闘艇を発進させた。ザフト軍のジンは戦闘艇と戦闘に入ったが、機動性に勝るジンは次々と戦闘艇を破壊していく。

一方、何体かのジンがヘリオポリス内に侵入した。そのタイミングで、アスラン達の仕掛けた爆弾が次々と爆発していく。その爆弾は、地球連合軍の新造戦艦アークエンジェルをも爆発に巻き込んだ。そして、アークエンジェルの艦長以下主な乗組員が待機していた場所でも爆発し、殆どの乗組員が倒れた。

同じ頃、アスラン達潜入部隊は物陰からヘリオポリス内を観察していた。すると、情報通り地球連合の機動兵器を運ぶトレーラーが確認された。

「あれだ。クルーゼ隊長が言った通りだ。」

イザークが、不敵に笑う。

「つつけば慌てて巣穴から出てくるって。やっぱり間抜けなもんだ。ナチュラルなんて。」

ディアッカも笑うが、ニコルの一言で真っ青になる。

「姉さんに言いつけますよ。」

「うわっ、待てっ。冗談、これは冗談だよ。」

ナチュラルであるアスカの耳に、そんなことがばれたら絶対に怒られる。ディアッカは大慌てとなった。そんな二人を横目で見つつ、イザークはジンに乗った仲間に連絡した。連絡を受けた仲間は、早い連絡に感嘆した。

「お宝を見つけたようだぜ。セクターS、第37工場区。」

「さすが、イザークだな。早かったじゃないか。」

ジンに乗ったミゲル達は、イザークの情報に基づいて地球連合軍のトレーラー群を急襲する。ジンは重突撃機銃を撃ちまくり、連合軍のトレーラーや兵器を次々に破壊していく。ジンの攻撃が一段落し、連合軍の攻撃が下火になってから、宇宙服に身を包んだアスラン達が軽機関銃を乱射しながら向かっていく。

だが、5体あるという情報の機動兵器が3体しかないため、アスラン・ラスティ他数名が別れてトレーラーが出てきた地点へと向かった。本隊のイザーク達は次々と地球連合軍の兵士を撃ち倒し、イザーク、ディアッカ、ニコルの順に新型機動兵器の奪取に成功し、ヘリオポリスから脱出していった。





爆発があった後、キラ達は逃げることにした。だがキラは、逃げる途中で少年が避難経路から外れて行くのを見て、心配になって一人でその後を追いかけた。その少年になんとか追いついた時、爆風が少年の被っていた帽子を飛ばした。そこで初めて、キラはその少年が女の子であると気付いた。

「女の子……。」

キラが呟くと、その少年……ではなくて少女は不満そうな顔になった。

「なんだと思っていたんだ、今まで。」

キラは少女に謝りつつも、辺りを見渡した。今の爆発で、来た道は塞がれていた。そのため、まだシェルターが生きていると思われる工場へと向かったのだが、そこでキラはロボットらしきものを見た。すると、少女は崩れ落ちるようにして跪いた。

「ああ、やっぱり地球軍の新型機動兵器。お父さまの裏切り者!」

少女が叫びをあげると、そこを銃弾が襲った。

「早く、こっちに来てっ!」

キラは、その少女を連れてシェルターを探し回った。そして、やっとシェルターを見つけたが、定員を理由に断られた。だがキラは、女の子だけでもと頼み込んで、なんとかその少女をシェルターに入れてもらうことにした。

「僕は、キラ・ヤマト。大丈夫だよ、きっと助かるよ。」

キラは、その少女に微笑んだ。

「私は、カガリ。お前も、達者でな。」

こうして、二人は別れた。後に二人は再び出会うことになるのだが。




イザーク達と別れた後、トレーラーが出てきた場所、モルゲンレーテ社という兵器開発会社の工場に入ったアスラン達は、激しい銃撃戦を展開した。どうやら相手に白兵戦のプロが殆どいないらしく、敵は次々と倒れていった。

だがその時、アスランの隣で軽機関銃を乱射していたラスティに銃弾が当り、ラスティは倒れた。

「ラスティ!」

アスランは怒りに震え、銃を乱射しながら突撃していった。そこに巨乳でオレンジのつなぎを着た女性が立ちふさがったが、アスランは冷静に女性の肩を撃ち抜いた。だがそこで弾切れとなったため、ナイフを抜いて向かって行った。

「アスラン!」

そこに、キラの声がした。キラは、横から飛び出してきて、女性の前立ち止まった。しばし、二人は呆然となった。その隙に女性は銃を構えたが、アスランの後ろから銃声がして女性の肩を撃ち抜いた。振り向くと、ラスティが立っていた。

「ラスティ!無事だったのか。」

「ああ、お守りのおかげかもな。」

ラスティはそう言って笑う。アスランは再び前を向き、キラ達に叫んだ。

「おい、お前達。ここから早く逃げろ。」

「おいおい、こいつらを見逃すのかよ。」

ラスティは慌てて止めようとするが、アスランは首を振った。

「怪我をした女性に、見るからに民間人の少年だ。俺達は、弱い者を喜んでなぶるような地球連合軍とは違う。そうだろう?」

「ああ、分かったよ。おい、お前達。俺の気が変わらないうちに逃げろ。」

ラスティが銃を向けると、キラはその女性を連れて逃げ出した。キラは、逃げる途中何度もアスランの方を振り返った。アスランも、しばらくキラを見つめていた。だが、そこにラスティが声をかけた。

「おい、アスラン。俺はこれに乗る。ほれ、銃を渡すぞ。」

銃の腕はアスランの方がいいため、ラスティはすぐ近くにあった地球連合軍の新型機動兵器-モビルスーツ-のコクピットに乗り込んだ。

「ああ、分かった。」

アスランは、急ぎその場を離れて残る敵を撃ち倒した。そして同じく、地球連合軍のモビルスーツのコクピットに乗り込んだ。




「ふうっ、ラスティは危なかったわね。」

ザフトの戦艦ヴェサリウスの自室で待機していたアスカは、そう呟くと目を開いた。

「さあて、ニコルを出迎えなくちゃね。」

アスカはハンガーへと向かったが、着いた時に丁度ニコルが奪取した地球連合軍の新型機動兵器から降りて来るところだった。

「ニコル!良く無事に帰った来たわね。」

「ええ。姉さんのおかげですよ。」

ニコルが床に降りると、アスカはニコルを抱きしめた。

「良かった、本当に良かった。」

「ちょ、ちょっと姉さん。恥ずかしいですよ。」

そう言いながらも、ニコルはアスカを無理に引き離そうとはしなかった。しばらくすると、アスカはようやくニコルから身体を離した。そして、ニコルが運んできたモビルスーツを見上げた。

「へえっ、結構格好いいじゃない。これ、なんて言うの?」

「確か、敵はG兵器と呼んでいて、ブリッツって言います。」

すると、アスカは首を傾げた。

「なんかさあ、もっと良い呼び方ないの?」

ニコルは、これを起動した時に出てきた文字を思い出した。確か、頭文字をつなげると……。

「そうですねえ。OSを起動する時に浮かんだ言葉の頭文字をつなげると、GUNDAM、ガンダムになりますかねえ。」

「へえっ、ブリッツガンダムねえ。うん、いいわ。それに決まりね。」

これ以降、アスカの強い主張によって、この兵器はガンダムと呼ばれることになるのだが。

そこに、ディアッカが声をかけた。

「おい、どうやらアスラン達も成功したみたいだぞ。」

「「やった!」」

アスカとニコルは同時に笑顔で叫び、飛び上がって喜んだ。



こうして、5体のガンダムをザフトはほぼ無傷で手に入れた。クルーゼ隊の作戦は、大成功だった。

次回


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